#33二枚あったモナリザ
モナリザのモデルの子孫がゼロに復讐のためヴィンランド地図の贋作を依頼し法廷闘争する話。
今作での知見は2つ。モナリザは2枚描かれていた、エール大学にあるヴィンランド地図について。
モナリザ
本作のようにスポンサーを納得させるには2枚あってもおかしくはない。元ネタは『アイルワースのモナ・リザ』か。これは1913年にアートコレクターのヒュー・ブレイカーがサマセットの貴族の家からモナリザを発見し、ロンドンのアイルワースにあるアトリエに運び込んだことが由来。ルーブル美術館のものより若く両側に柱がある。これについてはラファエロがモナリザを観てスケッチした作品があることからも真作説に傾いたよう。nappi10氏のブロク記事https://nappi11.livedoor.blog/archives/3567180.htmlが詳しく書いてある。
ヴィンランド地図
北アメリカの海岸線の一部である「ヴィンランダ・インスラ(Vinlanda Insula)」が描かれているという地図。ヴァイキングのレイフ・エリクソンが名付けたとされ事実なら北米大陸が記された世界で一番古い地図になる。15世紀辺りに模写されたが19世紀末の北極探検でしか知り得なかったグリーンランド全体図が書かれているというオーパーツ的な代物だが本作でも指摘されているようにインクに使われているチタン化合物で科学的調査からほぼ後年の捏造とされている。

#34客家~約束の観音像
話は割愛して知見になったことを書く。
媽祖
依頼人の名前が黙娘。宋代に実在した官吏の娘、黙娘が神になったのが媽祖(航海・漁業の守護神)。wikipediaによると黙娘は建隆元年(960年)、興化軍莆田県湄州島の都巡林愿の六女として生まれた。幼少の頃から才気煥発で信仰心も篤かったが、16歳の頃に神通力を得て村人の病を治すなどの奇跡を起こし「通賢霊女」と呼ばれ崇められた。しかし28歳の時に父が海難に遭い行方知れずとなる。これに悲嘆した黙娘は旅立ち、その後、峨嵋山の山頂で仙人に誘われ神となった…。960年は趙匡胤が皇帝に即位、宋(北宋)を建国した年になりますが比較的新しい神様といえる。
白馬寺
後漢の明帝の命令で作られた洛陽郊外に作られた中国最古の仏教寺院。蔡愔、秦景達が仏典探しの旅で出会ったインドの高僧・浮屠迦葉摩騰と竺法蘭らがスカウトされ仏像や経典が白馬に積んで運ばれてきたことからこの名前になったようです。”白馬寺の建築様式が日本の寺院建築にも影響を与え、飛鳥寺と四天王寺は白馬寺を参考に建てられたと言われる。”人民中国サイトhttp://www.peoplechina.com.cn/zhuanti/2014-10/31/content_648387.htmより。
なお本作に出てくる金箔観音菩薩像のことは分からず。
客家
”中国南部の広東省・福建省・江西省などで、土着の人から、外来の客人として区別されている人々。客家語は古い中国語の発音を残しており、独特の集団住居に住み、団結心が強く、また行動力にも富み、台湾や南洋地方に移住する人々も多かった。”世界史の窓https://www.y-history.net/appendix/wh1303-072.htmlより。
個人的にはネットワークが広く商売上手な印象があります。『ゴルゴ13』『ロックフォードの野望』でも単一での世界制覇を目指すロックフォードが手こずる相手として描かれていた。作中の宋大人は孫文、揚光輝は鄧小平を指していると思われる。
円楼
300人くらいが住む巨大集合住宅でいわゆる要塞型マンション。福建省の西部と南部の山中に点在する漢民族の伝統的な民家建築になる。本作では観音菩薩像の絵が置いてありゼロが見に行く(一瞬だけ)設定。明日葉さんという方のブログを拝見したところ宿泊もできるようだ。https://4travel.jp/travelogue/10971112。行ってみたい!
黄金分割
観音菩薩像がなぜ美しかったのかの説明。五対八の比率が原理でミロのビーナス、ギザのピラミッドもこの黄金分割になっているそう。1 : 1.6180339887で長方形がどんどん小さくなっていくのが黄金長方形。これは『ジョジョの奇妙な冒険』でも取り上げられていた。
白檀
観音菩薩像の材料。高さ3~10m。確かに数珠に使われるイメージがある。下記はwikipediaより引用。
”ビャクダン科ビャクダン属の半寄生の熱帯性常緑樹。爽やかな甘い芳香が特徴。香木として利用される。産出国はインド、インドネシア、オーストラリアなど。太平洋諸島に広く分布するが、ニュージーランド、ハワイ、フィジーなどの白檀は香りが少なく、香木としての利用は少ない。特にインドのマイソール地方で産する白檀が最も高品質とされ、老山白檀という別称で呼ばれる。栽培もされ、紀元前5世紀頃にはすでに高貴な香木として使われていた。沈香とは違って熱を加えなくても十分に芳香を放つため、置物である仏像、仏教儀式に欠かせない数珠等の仏具をはじめとして、日本では扇子の骨に使ってあおぐことで香りを発散させたり、匂い袋の香料の一つに利用するなど、身近なところで多種多様に使われている。線香の原料の中では最も一般的である。インドの寺院や宗教儀式では、瞑想する際に白檀を芳香させるといわれ、白檀の香りが雑念を払い集中するときに使われる。仏教がインドから中国に伝播するにつれ、中国でも仏教儀式に白檀が多く使われるようになった。日本には、仏教とともに中国から伝来したとされる。”

#35死者の書フネフェルのパピルス
プールの中に紙幣を入れて泳ぐ趣味(作中では絵面無し)の大富豪のスキンヘッドオヤジがゼロに挑戦する話。タイトルにもあるフネフェルのパピルスの贋作をゼロに作らせる訳ですが悉く罠をかけゼロに成敗される。罠のかけ方は汚いものの最後の「ブラボー」だけやけに潔い人物だった。
①フネフェルのパピルス
フネフェル は、紀元前1310年頃の古代エジプトに生きていた書記官であった。『フネフェルのパピルス』として知られる、エジプトの葬送用の『死者の書』をその墓に収められた人物である。フネフェルは、第19王朝のファラオ・セティ1世の近くに仕えた執事でもあった。彼のために制作された『死者の書』が芸術的に優れていることから、彼は高い地位にあったと考えられている。彼はメンフィスで死亡したと考えられている。
『フネフェルのパピルス』には、「開口」の儀式が描かれている。これは、死者が呼吸をする道を開いて魂のできるようにするための作業であり、パピルスには、アヌビスがミイラを墓の入り口に立たせ、死者の息子が道具を使って死者の口を開けるところが描かれている。この描写によって、埋葬儀礼における「開口」の儀式について多くの事を知ることができる。大英博物館に収集されたパピルスの中でも有名な部分の一つとされている。(wikipedeiaより)
本作ではこのパピルスに使われている色がポイントになっています。当時の白色はリン酸カルシウム、卵殻粉、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、たまに鉛白(鉛のさび)が使われる。その鉛白を燃やすと黄色になりさらに燃やすと鉛丹(赤色)になる。オッサンがゼロに見せたパピルスは鉛丹(当時のその技法はない)であったことをゼロは一発で見抜く。すげえな。
②パピルス
本物をつくるため作中でも一から作っている。カミガヤツリの多年草。アフリカに産する水草。高さ2M。この茎の繊維でパピルスを作った。

#36重い遺産
義母が娘のために白人から黒人になるトンデモ話。1巻から優れた医療技術が示されているが本作でも披露されている。仕上げの「あなたの心にジュディの心を刷り込むだけだ」はどうやってやったのか…。
①ウーンデットニーの虐殺
”1890年12月、アメリカ中西部のサウスダコタ州、ミシシッピ川の支流ホワイトリヴァーの河畔のウーンデットニー Wounded Knee (傷ついた膝)で、アメリカ合衆国騎兵隊によって、スー=インディアンの約300人が虐殺された。1830年のインディアン強制移住法に始まるアメリカ合衆国によるインディアンに対する殲滅作戦はほぼこれで終結し、インディアンはその後、各地の居留地に収容されて生活を続けることとなる。”(https://www.y-history.net/appendix/wh1203-072_1.htmlより引用)
②ウンデッド・ニー占拠事件
イエローサンダーという先住民の男性が白人たちに辱めと暴行を受け殺された。そこから端を発して結果的に”ウンデッド・ニーでインディアン相手に暴利をむさぼる白人、ギルダーズリーブズ一家が経営する交易所を占拠し、詐取された15家族分の土地権利書、担保の年金小切手を奪い返す。 次に、午後九時、ウンデッド・ニー虐殺現場をはさんで向かいの聖心カトリック教会を占拠した。占拠には、スー族、オジブワ族、ナバホ族、シャイアン族、クロウ族、アラパホー族、ショーショーニー族、ブラックフット族、MHA、オート族、ポタワトミ族、アサキワキ族、メスクワキ族、カイオワ族、ホピ族、イロコイ族、シネコック族、アパッチ族、チェロキー族、それに北西沿岸部族など様々な部族から約300人が加わった。”となった。

#37人面トンボの怪
トンボ玉のコレクターである大富豪が殺され孫娘が犯人弾劾のためゼロに依頼する話。
①トンボ玉
柄が入った小さなガラス玉(ビーズ)のこと。模様のついたガラス玉をトンボの複眼に見立てて、「とんぼ玉」と呼ばれたといわれている。作中では人面トンボ玉が象嵌技法で作られている。”象嵌(ぞうがん)とは胎土と異なる色土をはめ込んで装飾する技法です。素地土である胎土と違う色の土で模様を際立たせる装飾方法のひとつです。象の目になぞらえて「象眼」、嵌めこみ模様という意味から「嵌花」(かんか:花=模様の意)とも呼ばれます。”(https://touroji.com/technique/zougannogihou.htmlより引用)
②イツリの森の民
人面トンボの持ち主。4~5時間狩りをして余った時間を笛をふき踊りを楽しむという羨ましい民族である。
詳しくはhttps://www.daiwahouse.co.jp/sustainable/eco/column/world/pygmy.htmlに紹介されている。

#38聖なる水の奇蹟
ウバール発掘で病にかかった人を救出すべくウバール探しをするゼロ。